鎌倉最古の神社と伝わる甘縄神明社。この社も河内源氏と関わりのある神社です。甘縄神明社は和銅三年(七一〇)に創建されたといわれています。和銅三年は奈良時代なので相当古くから、鎌倉にあったといえます。
甘縄を含む由比郷一帯には、由比の長者とよばれた染谷時忠という富裕の者がいました。染谷時忠は藤原鎌足の子孫といわれ、関八州の惣追捕使として関東に下ったそうです。長谷には、時忠邸宅跡の石碑が建てられています。
この染谷時忠が神明宮と神輿山円徳寺を建立したのが、甘縄神明社のはじまりと伝えられています。
源頼信が平忠常の乱を収め、鎌倉に所領を持っていた平直方の娘を娶り頼義が誕生します。河内源氏は、直方から鎌倉の館も譲られました。鎌倉の館を伝領した頼義は、甘縄神明社に子を授かるよう祈願しました。そして産まれたのが八幡太郎義家といわれています。義家は永保元年(一〇八一)に社殿を再建しました。このように河内源氏と鎌倉は、古くから繋がっていたのです。