「ゆるり鎌倉歴史さんぽ」⑬極楽寺の世界

「ゆるり鎌倉歴史さんぽ」⑬極楽寺の世界

小さな江ノ電の駅という印象の強い極楽寺。しかしその存在は、遥かに広く、そこにはそびえ立つ一大ワールドがありました。

平家による南都の焼き討ちで灰燼と化した東大寺。大仏再建で活躍した河内国丹南鋳物師集団。忍性の師、叡尊は彼の地にあった泉福寺や西琳寺、真福寺らの教化をおこなっています。そして鎌倉の金銅大仏鋳造の時期。長く六波羅探題をつとめ、上方で人脈と当時の一級文化と触れていた北条重時の鎌倉帰還。深沢の里に山荘造営が始まっていきます。

鎌倉時代半ばに極楽寺へ入った忍性は、「孤独・貧窮・乞食人・病者・盲人・足腰の立たない人や、路頭に捨てられた牛馬に憐れみをかける」という大願をたて、実践していきます。師の叡尊をして「慈悲に過ぎた」といわしめました。今、極楽寺境内には、当時の茶臼と製薬鉢が残っています。二十年間で六万人を観て、五万人を救ったとされる忍性。人は彼を医王如来と称えました。今回はそんな世界をのぞく2時間です。