二階大堂「大長寿院」

二階大堂「大長寿院」

2022年8月8日

平泉から鎌倉へ繋がる二階建ての巨大建築、十体阿弥陀の二階大堂「大長寿院」。

 嘉承2年(1107年)関山中尊寺の西谷(にしたに)に二階建ての巨大な阿弥陀堂「大長寿院」が落成しました。阿弥陀堂の本尊は三丈(9m)の大きな金色阿弥陀像。そして九体の丈六阿弥陀仏坐像という、合計十体もの阿弥陀様がおさめられました。極楽往生を高らかに掲げる二階大堂「大長寿院」の完成です(高さ5丈=15m)。

 ちなみになぜ十体かというと、十法界にそった考えだといわれています。藤原清衡は当時流行っていた観無量寿経の九品往生思想をあらわす九体阿弥陀ではなく、十法界(仏法の法界から地獄の法界まで)を意識しました。これを阿弥陀堂に用いた最初の例が二階大堂「大長寿院」だといわれています。

 今、付近に西谷坊(にしたにぼう)大長寿院がありますが、往時の建物ではありません。

 後に奥州合戦で頼朝はこの二階大堂「大長寿院」を見て感嘆します。そして鎌倉にそっくりな御堂を建立しました(永福寺)。今、中尊寺の二階大堂「大長寿院」の跡付近にその名残はありません。しかしそのインパクトは二階堂(鎌倉市)という地名になった歴史が物語っています