どこか懐かしい駅のホーム。山に囲まれた細長い地形。そこに点在する禅宗寺院。歴史と文化の香りが漂う北鎌倉をゆっくりと自然を感じながら歩きます。ここ北鎌倉はかつて山ノ内(やまのうち)という荘園が広がり、この地を拝領したのが鎌倉時代の政治をリードした北条得宗家(北条家の嫡流)でした。そこでこの地を歩く際は、山ノ内をめぐる感覚を持つため、北鎌倉の呼び名は封印し、山ノ内で統一しました。さて山ノ内の荘園を得た北条氏は、五代執権北条時頼から子供の時宗、孫の貞時とその時代に関わる人々が次々と中国から高僧を招き、禅寺を建立していきます。五山第一位に数えられる「建長寺」、第二位の「円覚寺」、第四位「浄智寺」、紫陽花で有名な「明月院」、尼寺としての歴史を刻んだ「東慶寺」などたくさんの名刹が軒を連ねています。そこで山ノ内の歴史さんぽを3つにわけて巡ることとします。
三回目は「東慶寺」「浄智寺」です。東慶寺は北条時宗の妻、覚山尼が開いたお寺で、明治時代以前は尼寺としての歴史を歩んできました。この場所から望む時宗開基の円覚寺の姿は、夫婦の仲に包まれたかのような山ノ内の大地を思わせます。自然ゆたかな境内で、本尊を拝み、心と気持ちを整えながら巡ります。そして浄智寺。こちらは北条時宗の弟、宗政の菩提を弔うために建てられた兄弟の絆を感じさせるお寺です。こちらも自然が良く残っており、過去・現在・未来の珍しい三世仏を拝観した後、ゆっくりと境内をめぐります。かつてお寺はもっと大きく、お寺の外を奥までいくと、谷戸の大きさがわかります。自然と歴史・文化のミックス。そんな特徴を楽しめる2時間です。