表紙の文化財「赤糸威大鎧(竹虎雀)」所蔵の「春日大社」とは?

表紙の文化財「赤糸威大鎧(竹虎雀)」所蔵の「春日大社」とは?

2021年3月4日

 本号表紙の文化財「赤糸威大鎧(竹虎雀)」所蔵の「春日大社」をご紹介しておきます。

春日大社は奈良時代の神護景雲二年(七六八)に社殿が創建された歴史のある社(やしろ)です。場所は奈良県奈良市春日野にあります。神山とされる御蓋山を含む春日山一帯は、かつての自然がいまも大切に護られ、春日山原始林は国の特別天然記念物に指定されています。

 春日大社の創建された奈良時代は、唐の都「長安」をならって大路と小路が直角に交差する都市「平城京」が築かれました。この平城京の東に春日大社は建てられます。祭神は茨城県鹿嶋より武神で国譲りをされたタケミカヅチノミコトを迎え、本殿の造営は天皇家・藤原氏が尽力しました。以来、朝廷・摂関家・武家の崇敬をあつめ、国家の安泰を祈念する役割を果たしてきました。春日祭は勅祭とされ、今も連綿と続いています。

 この春日大社に隣接する博物館「春日大社国宝殿」に「赤糸威大鎧(竹虎雀)」は所蔵されています。国宝殿には一七〇〇点を超える国宝・重要文化財が納められ「平安の正倉院」と呼ばれています。災害・戦乱・強盗などで失われる宝物が多い中、このように大切に護られてきたのは奇跡的なことです。

 春日大社国宝殿は、平成二十八年十月一日に全面リニューアルしました。サントリー美術家を手掛けた弥田俊男、尾崎文雄、世界的な照明デザイナー岡安泉等によって設計・内装がおこなわれました。この建築も見どころの一つとなっています。