レキシノワ二号は「武士の世って何だろう?」という疑問に沿って、「武士の世のはじまり」について特集しました。これは古記録を読もう「吾妻鏡」のコーナーで、頼朝の祖先について触れられている内容を読み、河内源氏をさかのぼってみようと考えたことがキッカケです。
河内源氏と鎌倉の関わりを追う中で、武士の社会的役割の変化を強く感じました。そこには戦いを本業とする姿以上に、徴税の任務を背負う武士の姿がありました。納税に抵抗する者、税を横領する者、盗賊行為など、朝廷に反する場合に対してのみ、基本的に武士は軍事行動をおこすことが認められました。
中央政権は地方からの税で維持されています。だから武力の発動も持さなかったのです。
また、中央政権と深く関わる武士は皇族や貴族を起源にしています。この血統が地方社会と中央社会をつなぐ役割を果たしました。律令制の解体と荘園社会の発展は、武士の社会的役割と深く関わっています。
以下、本号作成にあたって参考にした主な本を掲載します。様々な角度から、いろいろな意見の出てくるテーマだと思います。「武士の世って何だろう?」から、今の社会とこれからの社会を考えるヒントやキッカケになればと思います。
高橋昌明「武士の日本史」(岩波書店)2018
高橋昌明「清盛以前 伊勢平氏の興隆 増補改訂」(平凡社)2011
関幸彦「武士の誕生」(講談社学術文庫)2013
関幸彦「戦争の日本史5 東北の争乱と奥州合戦」(吉川弘文館)2006
野口実「源氏と坂東武士」(吉川弘文館)2007
野口実「武家の棟梁の条件 中世武士を見なおす」(中公新書)1994
野口実「列島を翔ける平安武士」(吉川弘文館)2017
樋口知志「東北の古代史5 前九年・後三年合戦と兵の時代」(吉川弘文館)2016
福島正樹「院政と武士の登場」(吉川弘文館)2009
元木泰雄「河内源氏 頼朝を生んだ武士本流」(中公新書)2011
元木泰雄「源頼義」(吉川弘文館)2017
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