官省符(かんしょうふ)

官省符(かんしょうふ)

2020年9月9日

官省符とは、特定の荘園に対して不輸租(免税)の特権を認める太政官符・民部省符をいう。「鎌倉時代を知るには平安時代を理解する!!~荘園~」で述べたように、荘園によって免税の度合いが異なった。それは収取物だけでなく雑役も含むものであった。

官省符によって公的に不輸租が認められると、荘園領主の荘園に対する影響は必然的に強まった。このような不輸租を認められた荘園を官省符荘という。

官省符荘が増えると国家の収入は減り、特権を有する者が栄えた。平安時代末期の荘園は、院・平氏・貴族・大寺社の官省符荘がかつてないほど増加した時期である。

官省符荘が増え、荘園領主の荘園に対する影響力が強まると管理・運営の必要性が生じる。

ここで活躍したのが預所(あづかりどころ)という役についた者で、荘園にいた身分の低い役人である下司(げし)や、主に記録をつかさどる公文(くもん)らを使って、税や雑役など荘園の管理・運営を担った。預所は史料によっては雑掌(=所務雑掌)とも呼ばれ、荘園と荘園領主の元を行き来して、両方の仲介的役割を担った。