鎌倉国宝館

鎌倉国宝館

2021年2月18日

 レキシノワ創刊号の12Pの文化財紹介では、鶴岡八幡宮所蔵の宝物「籬菊螺鈿蒔絵硯箱」を取り上げました。この「籬菊螺鈿蒔絵硯箱硯箱」は、例年九月に鎌倉国宝館で開催される特別展「国宝 鶴岡八幡宮古神宝」で観覧が可能です。さてこの鎌倉国宝館ですが、そもそもどのような施設なのでしょうか?そこで今回は、鎌倉国宝館を紹介してみたいと思います。

 鎌倉国宝館は、関東大震災をきっかけに建設が計画されました。鎌倉は関東大震災により大きな被害を受け、貴重な文化財を失いました。そして二度と同じようなことをおこさないよう、災害から文化遺産を守る施設が求められました。あわせて鎌倉を訪れる人が、文化財を拝観できる展示施設として開館するという趣旨に、多くの人々が賛同し文化財を寄付しました。こうして昭和三年(一九二八)に鎌倉国宝館は開館します。

 建物は鉄筋コンクリートを用いた高床式校倉風造りで、外観は奈良の正倉院を模し内部は鎌倉時代の寺院建築の手法を生かしています。設計は歌舞伎座などを設計した岡田信一郎で、施工は松井建設です。入口の窓に、平安時代に鎌倉を詠んだ和歌に出てくる「星月」のマークをした、ステンドグラス(小川三知作)がはめ込まれており、近代技法を用いつつも和風のイメージを残すという工夫が凝らされています。建築理念の強さを感じさせます。

 平成二十年(二〇〇〇)には、この本館が国の登録有形文化財(建築物)に登録されました。

まさに鎌倉を代表する文化施設といえるのではないでしょうか。