鎌倉国宝館 特別展「国宝 鶴岡八幡宮古神宝」(8月28日~9月30日)訪問記(後編)

鎌倉国宝館 特別展「国宝 鶴岡八幡宮古神宝」(8月28日~9月30日)訪問記(後編)

レキシノワ四号の12P「鶴岡八幡宮所蔵の宝物」で取り上げた(朱漆弓・黒漆矢)が、現在鎌倉国宝館の特別展「国宝 鶴岡八幡宮古神宝」(8月28日~9月30日)で公開されています。

実は今回の特別展では、昨年12月の創刊号以来、12Pの「文化財紹介」で取り上げた宝物がすべて展示されています。そこで後編の今回は、これまで小冊子で取り上げた文化財について、小冊子に載せた紹介文と、今回実際に見た感想をあわせてUPしたいと思います。

〇小冊子レキシノワ創刊号で取り上げた「籬菊螺鈿蒔絵硯箱」(まがきにきくらでんまきえすずりばこ)

小冊子では、

『社伝によると後白河法皇が源頼朝に下賜したといわれ、さらに頼朝が鶴岡八幡宮に奉納したと伝えられている。

 およそ正四角形の硯箱で、蓋には金粉を蒔いた沃懸地に、七色に輝く螺鈿で花や鳥を描いている。細かい模様からは当時の技術の高さがうかがい知れ、金と螺鈿の絶妙なコントラストは美しく、見る者を魅了する。

 身には筆舟と銀製鍍金の水滴が収められ、中にあった文房具も伝わっている。身に収められた品々にも細かい模様が施され、特に菊がふんだんに用いられ、雅な王朝文化を感じさせる。』と紹介しました。

 実物は言葉では言い表せないくらい素晴らしいです。それは精巧な細工・金と螺鈿の輝き・意匠性など高度な芸術の融合からくるものだと思います。社伝によると源頼朝が当時の最高権力者である後白河法皇から譲られ、鶴岡八幡宮に奉納したとされます。同じような手箱(通称:北条政子手箱)も伝来していましたが、明治六年のウィーン万国博覧会へ出陳された帰路、伊豆沖で運搬船が沈没してしまい失われました。しかし江戸時代に記録された「籬菊螺鈿蒔絵手箱図巻」によって知ることができます。

〇小冊子レキシノワ二号で取り上げた「沃懸地杏葉螺鈿太刀(拵)」(いかげじぎょうようらでんたち)

小冊子では、

『別名「衛府の太刀」と呼ばれる。「衛府の太刀」とは、もともと宮中警備を司った官人が帯刀するものだった。しかし鎌倉時代以降は、儀式用に制作されたといわれる。鶴岡八幡宮には、ほぼ同じ二口の太刀が伝来する。

 柄は鮫皮状に銀の薄板を打ち出し、目貫は四葉の花形座金を伏せる。鞘は金の沃懸地に杏葉文の螺鈿を配する。雅で豪華な装飾は、今なお輝きを失わず、見るものを魅了し続けている。』と紹介しました。

実際に目の前にすると、こちらも「籬菊螺鈿蒔絵硯箱」同様、平安時代における芸術性の高さを感じさせる素晴らしい宝物です。かつての儀礼がとても煌びやかで、荘厳だった様子を感じさせます。

以上、小冊子で取り上げた宝物を中心に、鎌倉国宝館で開催されている特別展「国宝 鶴岡八幡宮古神宝」(8月28日~9月30日)を訪れた様子をUPしました。これらの古神宝以外にも素晴らしい宝物を一同に観ることができます。会期中に鎌倉を訪れた際は、是非目の前に広がる日本中世の文化を感じとってください!!

また開催概要については、必ず公式サイトでご確認ください。

鎌倉市/展覧会のご案内 (city.kamakura.kanagawa.jp)